2016/12/22

●開催報告:『3.11後の子どもと健康――学校と保健室は何ができるか』

ソーシャルジャスティスより
(11月19日=SJFアドボカシーカフェ第47回)

【ゲスト】大谷尚子さん(養護実践研究センター代表/茨城大学名誉教授)
    松田智恵子さん(宮城県大崎市立の小学校 養護教諭)

――大谷さんのお話では、原発事故の子どもにとっての影響を幅広い側面から見ていく手掛かりをもとめ、養護教諭や被害者が、子どもの命と健康を守るためにどう取り組み、社会的問題を浮き彫りにしたのか、先進事例から学びました。目の前の子どもを丸ごととらえることで子どもの異変に気づき、他の事例とともに比較集積することで、類似の「あれ、変だな」の事実が明らかになっていく。そうして原因の除去に努め、その発起点をつくり、社会公衆の健康にまで発展させた養護教諭の仕事から学びました。

松田さんのお話は、大谷さんの、自分たちで実態をつかみ、原因分析や今後の課題に地域や保護者、行政とともに取り組んでいくことが大切だとのお話に呼応していました。原発事故から5年8カ月、子どもと一緒にどう放射能を考えてきたのか。松田さんは、自分たちで測定したデータの公表を控えさせる動きに対しても、子どもたちのための仕事という原点から、教育委員会や管理職と交渉し情報発信を行ってきました。また、職員会議で教育活動を見直し、給食指導や学校健診など幅広く改善してきました。不安もありましたが、行政や職員、地域とつながり、声や問題意識を共有できたことが力になったそうです。そういった実践をもとに、予防原則による子どもの健康管理を続けること、風化する問題意識と向き合うことの大切さを強調しました。

会場との対話では、放射線被ばくの影響はこれからが何か気づいていく重要な時期であり、一人ひとりの子どもたちにきちんと向き合うことが大切だと強調されました。放射能問題は、口に出せないけれども忘れているわけではない人たちも多く、隠そう逃げたいでも発信していくこと、福島に関心を持ち続け一人ひとりが気づいた時に声を出していくことが大事だとの提言があり、市民からの働きかけで動いた自治体の事例も紹介されました。


養護教諭の仕事は、それらの発起点となる話題を提起し、輪を広げていくことだと大谷さんはしめくくりました――

【詳細】 http://socialjustice.jp/p/report20161119/

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