2016/02/20

広島の科学者、福島語る きょう南区で市民公開講座 /広島


2016年2月20日 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160220/ddl/k34/040/636000c

東京電力福島第1原発事故から5年になるのを前に、「福島原発事故被災者に対する広島・長崎からのメッセージ」と題した広島大市民公開講座が20日、南 区民文化センターで開かれる。「初期放射線ばかり注目し、残留放射線の影響を無視してきた広島、長崎の研究は福島の力になれなかった」とじくじたる思いを 抱える広島の科学者が企画した。広島、長崎の被爆者や福島原発事故の被災者らと向き合い、研究を続けてきた科学者による講演やパネルディスカッションがあ る。

同大原爆放射線医科学研究所(原医研)計量生物分野などが主催。企画した大瀧慈教授(統計学)は、2010年に広島市や県が現行の援護対象区域の6倍で 「黒い雨」が降ったと示したアンケートの解析に携わった。大瀧教授はこれを機に、初期放射線による直接被爆では説明がつかない内部被ばくの影響に焦点を当 てた研究に携わるようになった。

研究に取り組み始めた矢先、福島原発事故が発生。直後から文部科学省による福島の土壌汚染調査プロジェクトに加わったが、「広島では限定した地域の調査しかなく、生かせる知見がなかった」と悔しい思いをした。「だからこそ、新しい研究に力を入れてきた」という。

公開講座では、大瀧教授が被爆者のガンの発生状況について、最新の研究成果を報告するほか、被爆者の原発に対する考え方や福島原発事故の実態について研究者らが語る。市民を交えたパネルディスカッションもある。

当日は午後2時〜同5時。参加費無料で申し込みは不要。大瀧教授は「原爆被害者の研究をしている者として、福島の人たちにどんな貢献ができるのか考えて きたが、ほとんどできていない。反省の意味も込めて、今回のテーマにした。気軽に来ていただければ」と話している。【加藤小夜】

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