2015/10/19

福島に戻りたい、戻れない 北海道内の避難者、国の帰還方針に戸惑い

2015年10月19日 北海道新聞
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0192014.html

避難指示が解除されても、故郷に戻ることは考えられないと語る
(左から)片山勝一さん、清子さん、繁子さん
東京電力福島第1原発事故で立ち入りが制限されている避難指示区域から道内に避難している人たちが、国が進める住民の帰還方針に複雑な思いを抱いている。9月に福島県楢葉町で全域規模で避難指示が解除されたのを皮切りに、原発周辺の多くの市町村で2年以内に帰還が始まる予定だが、生活環境の復旧は見通せず、「戻りたくても戻れない」状況だ。4年半以上の避難で道内に生活基盤を築いた人も多く、「帰郷への壁は大きい」との声が漏れる。

福島県内で、全域または一部に避難指示が出されているのは、解除された楢葉町を含め1市6町3村。各市町村によると、道内に計319人が避難している。

空知管内南幌町に住む片山勝一さん(61)もその1人。東日本大震災直後の2011年4月、大熊町の自宅から長男のいる旭川市に避難したが、今年4月、南幌町の中古の一戸建てを購入し移り住んだ。家庭菜園で作った野菜を提供する小さなレストランを自宅横に構えた。妻清子さん(54)と切り盛りし、母繁子さん(85)と同居する。

勝一さんは南幌でレストランを営むことについて「今のうちに先を見据えて決断しないといけないと思った」と胸の内を明かす。

勝一さんの大熊町の自宅は「帰還困難区域」で戻れるめどが立たない。繁子さんが暮らしていた実家は、9月5日に避難指示が解かれた楢葉町にある。解除を前に、自宅に届いた楢葉町の広報紙には、帰還は強制ではないとしながらも、商業施設や病院が来年にもできるとPRしていた。

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