2015/07/15

復興の現状 世界に発信 スイスで内堀知事

2015年7月15日 福島民報
https://www.minpo.jp/news/detail/2015071524062

【スイス・ジュネーブで斎藤直幸記者】

欧州訪問中の内堀雅雄知事は13日午後(日本時間14日午前)、スイスの在ジュネーブ国際機関日本政府代表部で開いた県主催のセミナーと交流会で、各国政府代表や国際機関関係者らに東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興の現状を説明し、風評払拭(ふっしょく)と風化防止への協力を求めた。出席者は復興が進んでいる本県の姿に理解を示し、内堀知事は情報発信力をさらに強化する考えを示した。

セミナーには、アイルランドやタイの大使、フランスやフィンランド、フィリピン、インド、スイスなどの政府機関や国際機関の関係者ら約40人が出席した。内堀知事は英語やフランス語を交えながら約40分にわたり、震災と原発事故からの本県の歩みを語った。

県民生活については「4年4カ月が経過した現在も約11万人が全国47都道府県に避難を余儀なくされ、元の暮らしを取り戻せない厳しい現実がある」と報告した。さらに、避難者の生活再建の足掛かりとなる災害公営住宅の整備の遅れにも言及。「仮設住宅を訪れるたびに『早くこの状態から助けてくれ』との悲痛な叫びを聞いている」と、不便な生活が続いている避難者の心情を伝えた。

放射性物質検査を徹底しているにもかかわらず、県産農林水産物の風評が続いている実態も示した。

一方で、原発事故直後は夏でも長袖・長ズボンにマスク姿で登校していた子どもたちが、今では原発事故前と同じく校庭で体育の授業や運動会を楽しんでいると説明。農林水産業や観光業も回復基調にあるとし、本県復興が着実に進展していると強調した。

交流会後、各国代表者らは「福島の強さを感じた」「復興が進んでいることが理解できた」「(自国で)福島に関する正しい情報を発信したい」などと語った。

内堀知事は、大使館関係者から「福島は全部、駄目だと思っていたが、ここまで復興が進んだのか」と言われたことを明かした上で、「3・11から福島の時計の針は止まったわけではない。今も動いているんだということをこれからも世界に伝え続けたい」と述べ、情報発信力を強化することで世界と福島の距離を縮める考えを示した。

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