2015/04/13

福島/「風評ではなく実害」原発事故後の苦悩伝える 県農民連会長、国際シンポで訴え

2015年4月13日 朝日アピタル
http://apital.asahi.com/article/local/2015041300013.html


日本科学者会議福島支部主催の国際シンポジウム「ヒロシマ・ビキニからフクシマへ、そしてフクシマから世界へ」が11日、福島市内で開かれた。東京電力福島第一原発事故の「風評被害」について県農民連の根本敬(さとし)会長は「風評とは根も葉もないことをいう。我々の農作物は根にも葉にも放射性物質を付けられた。実害だ」とし、加害責任をあいまいにする用語の使われ方を批判した。

海外ゲストらに原発事故による農業被災を説明する中で根本氏は、「国の基準値を少しでも下回れば安全ですって売っていいのか。それ以下なら風評被害だというのは消費者を敵に回す行為では?」という農民の悩みを伝えた。「核被害地で農民として生きていく」決意をした根本氏は「損害の自覚と覚悟が必要」と強調、「農村での食糧自立、原子力に頼らないエネルギーの自立」を説いた。

会場からは「加害者が情報を隠し、事実を明らかにしないところに風評が生まれる」との指摘もあった。

カナダ・コンコーディア大学のピーター・バンワイク教授は、原発事故後の住民の被曝(ひばく)について「何が危険で、どの程度の量なら安全なのかの基準値が、科学ではなく政治的に決められ、住民は説得の対象になっている」と述べ、日本政府の住民帰還政策を「二重基準だ」とした。


米国が核実験を続けた中部太平洋のマーシャル諸島で被曝者調査をした福島市のフリージャーナリスト藍原寛子さんは「マーシャルでは小児甲状腺がんだけでなく様々ながんや白血病など30以上の疾患・障害に対する補償制度が確立されている。福島県民の将来の健康被害対策として大きな参考になる」と紹介した。


ピーター・バンワイク教授(右)は「核の道をたどる旅」と題し、
ウラン採掘で被曝したカナダ先住民から広島原爆、福島の被災を
歴史と政治から説いた=福島市



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