2014/12/04

放射能の動き探る 福島大の研究所が本格始動/福島


 福島大が昨年7月に新設した「環境放射能研究所」の研究拠点が同大敷地内に完成し、3日に開所式があった。東京電力福島第一原発事故で飛び散った放射性物質の森や川、海などでの動きや影響を探る。すでに海外からも研究者が集まり、分析が始まっている。

 研究拠点は2階建て。建物と設備費約18億円は国からの補助金をあてた。1階には、土や水、植物に含まれるセシウムなどの放射性物質を調べるゲルマニウム半導体検出器を9台配置。ごく微量でも測定できる検出器のほか、1台で50サンプルを自動的に測定できる検出器もある。

 また、倍率300万倍の電子顕微鏡も導入。放射性物質が土の中で鉱物に付着した状態を調べることで、効果的な除染方法につながる成果が期待されている。

 研究者は現在13人で、そのうち9人はロシアやウクライナなど海外から参加。他の大学や研究機関とも連携し、水中ロボットによる湖沼底の調査や、森や海での分布確認、野生動植物への移行調査などに取り組んでいる。

 高橋隆行所長は「地形や土の組成、水の流れ、植生などは地域によって違い、放射能の動き方に影響する。対症療法ではなく、学術的に明らかにすることで復興計画に役立てたい。成果は市民にわかりやすくお知らせする」と話した。

http://www.asahi.com/articles/ASGD34T7RGD3UGTB005.html
2014年12月4日
朝日新聞

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