2014/12/14

福島のシイタケを食卓に セシウム不検出、農家が安全PR



 福島県内のシイタケ農家が風評被害を払拭(ふっしょく)しようと、安全性に配慮しておが粉などの菌床で栽培したシイタケの出荷に力を入れている。福島第1原発事故の影響で依然として風評被害がある中、「菌床栽培のシイタケからは放射性セシウムは検出されていません」と強調し、冬の鍋物に欠かせぬ材料としてブランドシイタケの販売に懸命だ。

 同県中部・石川町のシイタケ農家、小湊孝さん(47)のハウスの棚には食パンのような形の菌床が並び、肉厚のシイタケが顔を出す。菌床はおが粉や米ぬかなどを混ぜて作る。シイタケの菌を入れて培養すると、2〜3週間で出荷サイズに育つ。

 年間約4万玉の菌床を作る小湊さんは「おが粉は埼玉県内から買っている。セシウムは検出されていないのに、消費者に伝わっていないのが残念」と震災から3年半以上たった今も、卸値が震災前の7割程度にしか回復していないと嘆く。

 JA全農福島では震災前は原木を使ったシイタケも出荷していたが、いまは約30人の生産者全員が菌床シイタケだけを出荷している。安全性を確保するため、どの生産者もセシウムの吸収を抑える土壌改良材のゼオライトをおが粉に混ぜている。

 昨年7月からは、セシウムの不検出をPRするため、「愛情しいたけ」というブランド名を考案し、そのシールをパックに貼って出荷している。福島県以外の小売店でも販売されているが、こうした努力に共感し、「愛情しいたけ」を直接買い入れて販売するスーパーも出てきた。

 JA全農福島・郡山営農事業所の手代木(てしろぎ)丈幸さん(24)は「二重三重の検査で品質確保に努めている。福島県産シイタケを応援してほしい」と販売に駆け回っている。問い合わせは同郡山営農事業所(024・968・1231)


毎日新聞 2014年12月14日 東京朝刊
http://mainichi.jp/shimen/news/20141214ddm013100068000c.html

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