2011/12/09

粉ミルク(明治ステップ)続報

明治ステップからセシウム 他の粉ミルクも製造工程は同じ
msnニュース
2011.12.6 21:55

 明治は乳児用粉ミルクとして「明治ステップ」「明治ほほえみ」「明治ミルフィー」の3種類を製造、販売している。同社広報部によると、いずれも、埼玉県春日部市の工場で製造。乳原料と水を混合後、熱風で粉末状に乾燥させるという同様の製造工程を踏んでいるが、セシウムが確認されたのは「明治ステップ」だけだった。
 乳原料は北海道のほか海外から輸入。水なども安全性が確認されている。今回、「明治ステップ」だけからセシウムが検出された理由について、同社は「詳しく調べてみないとわからない」と話している。
 一方、粉ミルクの基本的製造工程は、他のメーカーも同じ。メーカー関係者からは「製造時に大気中からセシウムが混入するとは、正直、考えていなかった」「想定外だった」などとの驚きの声が上がった。
 メーカー大手の「森永乳業」「雪印メグミルク」「和光堂」は明治同様、自社で製造される粉ミルクについて定期的にサンプル調査を実施中。一部結果は、日本乳業協会のホームページで公開している。これまでのところ、セシウムは検出されておらず、各社とも「安全性は担保されている」としている。


粉ミルク汚染 安心の確保に行動見直せ
2011年12月8日 10:56
西日本新聞 社説

 食品の安全衛生上、最も厳重に守られるべき対象者は乳児であろう。食品大手の明治(東京)は、その乳児用粉ミルク「明治ステップ2 件」(850グラム入り缶)から、最大で1キログラム当たり30・8ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。
 東京電力福島第1原発の事故後、粉ミルクからセシウムが検出されたのは初めてである。事故で大気中に飛散したセシウムが混入した可能性があるという。
 国の粉ミルクの暫定基準値(1キログラム当たり200ベクレル)以下だったとはいえ、消費者の安心に向けた努力が求められる。
 明治によると、検出されたのは、埼玉県春日部市の工場で3月14―20日に原料を乾燥させる工程を経た製品だ。
 工場では、原乳を粉状にした原材料に水や栄養分などを加え、約200度に熱した外気で加熱乾燥して再度、粉末にしている。原材料は北海道産のほかは外国産であり、乾燥する際の外気に放射性セシウムが含まれていたとみられる。
 この3月中旬は、福島第1原発から半径20―30キロ圏の住民に屋内退避が指示され、福島の牛乳と茨城のホウレンソウから暫定基準値を超える放射性物質が検出されるなど、混乱が続いていた。枝野幸男官房長官(当時)が記者会見で「健康上、直ちに危険とはいえない」などの発言を繰り返していた時期である。
 外気が原因であれば、福島第1原発から直線で約180キロ離れた工場周辺に当時、放射性物質が降り注いでいたことになる。東電にも政府にも生産者の明治にも、油断があったと言うほかない。
 検査体制にも問題があった。明治は原発事故後、月1回程度検査していたが、今回の問題は、福島県内の市民団体が粉ミルクを測定してセシウムを検出したことから、同社に詳しい検査を申し入れたことがきっかけで明らかになった。
 暫定基準値を下回ったため、明治が自主的に出荷された40万缶の無償交換を実施中である。粉ミルクは湯に溶かして使うためセシウム濃度はさらに下がるという。同社は「毎日飲用しても健康への影響はないレベルだ」と説明する。
 しかし、いまごろになって外部からの指摘で放射性物質の混入という事態に気付くことに問題の本質があろう。
 人々にパニックを起こさせないという命題はあったにしろ、東電や政府が原発事故発生当時、事態を過小評価していたことは否定しようがない。そのことが生産者の明治にも影響したといえる。
 放射線の人体への影響は科学的に十分なデータがなく、専門家の間でも見解が分かれる。逆に、国がいくら「安全だ」と言っても納得は得られにくい。
 厚生労働省は近く、新たに乳児用食品群の基準値を設定する予定である。それと同時に、食品の監視や検査体制を強化し、情報公開を極力心掛けてほしい。
 無論、明治をはじめ食品メーカーも、食の安心がいかに大事かを肝に銘じて、行動しなければならない。


粉ミルクを定期的に検査 ベビーフードも
厚労省、セシウム検出で

日経新聞
2011/12/9 10:57

 食品大手の明治の乳児向け粉ミルク「明治ステップ」(850グラム入り缶)の一部から国の暫定規制値を下回る放射性セシウムが検出されたことを受け、厚生労働省は9日までに、市販されている粉ミルクを定期的に検査することを決めた。ベビーフードも同様に検査する。小宮山洋子厚労相は同日の閣議後の記者会見で「消費者の関心も高い。定期的に検査したい」と述べた。
 市販の食品の検査は国立医薬品食品衛生研究所が担当しており、同省のホームページなどを通じて結果を公表している。福島第1原子力発電所事故後の7~8月に明治を含む複数メーカーの粉ミルク25検体を調べており、いずれも検出限界(1キログラム当たり5ベクレル)未満だった。
 明治の粉ミルクから検出されたのは最大同30.8ベクレルで、暫定規制値(同200ベクレル)を大きく下回っており、同省は「飲んだとしても健康に影響が出るレベルではない」としている。


粉ミルクやベビーフード 定期的に放射性物質の検査実施へ 日本産科婦人科学会「心配の必要なし」
msnニュース
2011.12.9 19:15

 食品大手、明治の粉ミルク「明治ステップ」から、1キロ当たり最大で30・8ベクレルの放射性セシウムが検出された問題で、厚生労働省は9日、市販の粉ミルクやベビーフードなどの乳児向け食品について、定期的に検査を行っていく方針を明らかにした。これまでも検査は行ってきたが、今後は3カ月に1度程度の頻度で検査していくという。
 検出された放射性セシウムは、国が定める粉ミルクの暫定基準値(1キロ当たり200ベクレル)を大きく下回っている。小宮山洋子厚生労働相は同日の会見で「特にお母さん方をはじめ、消費者の関心が高い」と説明。「今後も検査をしていきたい」と述べた。
 厚労省によると、これまでに粉ミルクは7~8月に25検体、乳児向け食品については7~8月と11~12月に計63検体を検査したが、いずれも放射性セシウムは検出されていない。
     ◇
 日本産科婦人科学会は、今回の粉ミルクを飲み続けた場合の健康被害について「被(ひ)曝(ばく)量は微量であり、心配する必要はない」などとする見解を同学会のホームページに掲載した。



粉ミルクからセシウム 混入情報2週間放置

東京新聞
2011年12月10日 朝刊


 明治(東京)の粉ミルクから放射性セシウムが検出された問題で、十一月中旬にセシウム混入の情報が三件同社に寄せられていたのに、約二週間にわたり放置し、詳しい検査に乗り出さなかったことが九日、分かった。
 明治は十二月になって、市民団体の通報と共同通信の取材をきっかけに製品の詳細検査を始め、粉ミルクの明治ステップ(八百五十グラム缶)から一キログラム当たり最大三〇・八ベクレルのセシウムが検出された。
 明治は「一件は匿名で、二件は『インターネットに検出情報が載っている』という連絡だった。
 実際にネットを見ようとしたが情報は削除されていて確認できず、それ以上は調査の必要がないと判断した。今後はより感度を高めて対応したい」(広報部)としている。
 関係者によると、食品に含まれる放射性物質を独自に調べている福島県二本松市の市民団体が十月下旬、明治ステップを測定し、一キログラム当たり二〇ベクレルのセシウムを検出した。検出の事実と、缶に記載されていた賞味期限などの情報は、匿名の人物から十一月十四日、明治のお客さま相談センターに電話で寄せられた。
 情報は交流サイト「フェイスブック」などを通じて広まったとみられ、同日、相談センターには「ネットで見た」と、ほかに消費者二人から通報があった。
 電話をかけてきた消費者に、相談センターは「月に一度検査しているので大丈夫だ」と説明したという。

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