2011/12/13

ふくしま集団疎開裁判の会より:矢ヶ崎克馬氏の警鐘「いま、申立人の子どもたちは全員、チェルノブイリ避難基準の移住義務地域で教育を受けている」

ふくしま集団疎開裁判の会では、
判決前夜アクションとして、継続してネットでの賛同、講演会、意見書提出に
取り組んでいます。

ぜひ、賛同のクリックにご協力ください。
いま、海外へも拡散中で、ベラルーシからのものが増えているそうです。
悲しいけれど、あたたかな涙があふれてきます…

※リンクなど、詳細と賛同のクリックは、下記サイトへ
http://fukusima-sokai.blogspot.com/2011/11/blog-post_1438.html

本日(12月2日)、琉球大学名誉教授の矢ヶ﨑克馬さんは「いま、申立人の子どもたちは全員、チェルノブイリ避難基準で、住民を強制的に避難させる移住義務地域で教育を受けている」ことを明らかにする意見書(3)を緊急に裁判所に提出しました。
 これまで私たちは、文科省が8月30日に公表した「土壌の核種分析結果(セシウム134、137)について」のデータに基づいて、債権者らが通う7つの学校の汚染状況をチュルノブイリの避難基準に当てはめてきました。その結果、
(1)、2校が住民が強制的に移住させられる移住義務地域に該当
(2)、4校が住民に移住権がある移住権利地域に該当
するというものでした(→これを地図にした汚染マップ)。
 しかし、この汚染マップでは上記7つの学校の汚染状況を正しく反映していないことが判明しました(→その詳細は、債権者最終準備書面の補充書(3)2頁終わりから2行目以下。福島市役所と郡山市役所の空中線量の対比表。福島県中通り汚染マップを参照)。
 そこで、改めて、郡山市が測定した空間線量の値に基づいて、上記7つの学校の汚染状況をチュルノブイリの避難基準に当てはめたところ、
申立人らが通う7つの学校全てが住民が強制的に移住させられる移住義務地域に該当することが明らかとなりました。
 これにより、申立人らの疎開は一刻も猶予がならないものであることが明らかです。
 皆さん、判決前夜の今、一人でも多くの方が、ふくしまの子どもたちを救う判決を支持するネット賛同に参加して、世直しの声を表明して下さい。

 以下に、矢ヶ崎さんの意見書のポイントを取り出しました。
  ******************************
1、空間線量の値に基づいたチェルノブイリ周辺国の避難基準について
チェルノブイリ事故後の避難(移住)基準は、周辺国のロシア、ウクライナ、ベラルーシでは、年間被曝線量、あるいはセシウム等の汚染濃度に基づいていますが(今中哲二編:『チェルノブイリ事故による放射能災害』48頁、62頁、74頁)。これらの国の移住基準は基本的には人工放射線量が年間1mSv 以上となる汚染濃度とされています。これらの国の法律 では年間1mSv以上で移住権利、 5 mSv以上が強制移住となっています。

(2)、チェルノブイリ周辺国避難基準を1時間あたりの空間線量率で表示
 年間被曝線量は様々な形態の被曝のトータルの線量のことであって、空間線量だけではありませんが、今、議論を単純化して年間被曝線量を空間線量だけで考えることにします。
 すると、年間被曝線量と1時間あたりの空間線量率の関係は
年間1mSvは 0.114μSv/h に、
年間5mSvは 0.571μSv/h に相当します 。
 したがって、チェルノブイリ周辺諸国の法定汚染基準をこれに適用すれば、移住相当汚染は0.114μSv/h以上であり、移住権利汚染ゾーン:0.114μSv/h以上、移住義務汚染ゾーン:0.571μSv/h以上となります。

(4)、チェルノブイリ周辺国避難基準への当てはめ
 これによると、上記の債権者らが通う7つの学校周辺の地域の空間線量の値は全て0.571μSv以上ですから、全てがチェルノブイリ周辺国避難基準の移住義務区域に該当することになります。すなわちこれらの国では住民の移住が義務付けられる汚染ゾーンにあるのです。

(5)、以上のことが意味すること
 チェルノブイリ周辺国で移住義務とされる汚染が、我が国の学童生徒に対して身体に危険が及ばない値で無いはずはありません。日本で、年間1mSv が公衆に対する被曝限度値であるとされますが、7つ全ての学校地点で年間被曝限度の5倍 をはるかに上回って、最高危険地は何と15倍 近くなっています。
 本件の債権者はおとなの数倍は放射能に対する感受性が高いと言われる学童生徒です。さらに、緊急事態では、放射線に対する人間の抵抗力が増強されるということはいささかもありません。また、一企業体の事故の責任を児童が負わなければならない道理は金輪際ないのです。

(6)、結論
 主権在民を原理とする国においてならば、即刻学童の保護として避難を講じるべきです。

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